データレスクライアントとは?仕組みやVDIとの違い、メリット・デメリットを解説
2023.11.20投稿、2024.07.24更新
近年、各企業でテレワークの導入が進められています。テレワークには自宅やコワーキングスペースなど、どこでも勤務ができるというメリットがある反面、社外から社内のデータにアクセスする機会が増えることから情報漏洩のリスクが高まるという問題があります。
社外PCからの情報漏洩を予防するためには、ローカル環境にデータを残さずにデータ処理のみを行うPCを導入することが必要です。このように、PC内にデータを保存できない端末をデータレスクライアントといいます。
本記事では、データレスクライアントの仕組みや導入するメリットとデメリットについて解説します。データレスクライアント製品を選定する際の比較ポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
データレスクライアントとは
データレスクライアントとは、ローカル環境にデータを保存せず、データ処理だけを実行するPCのことです。
業務に必要なファイルやソフトウェアなどのデータは、社内の専用サーバーに保管されており、そのキャッシュを一旦ローカル環境にダウンロードします。これにより、サーバー内にバックアップを残しつつクライアント側(PC)からファイルをオフラインでも操作できるようになります。
データはローカルに保存されないので、万が一PCを紛失した場合や故障した場合でもデータの損失や情報漏洩を防ぐことができます。また、製品によってはデータの管理先をオンプレミスに指定できるので、用途に合わせた運用ができます。
データレスクライアントが必要になった背景
データレスクライアントが必要になった背景とは、テレワークの導入や企業を狙ったサイバー攻撃の増加などが挙げられます。
テレワークでは社外にPCを持ち出したり社外PCで作業したりするケースが多く、社内データの漏洩やデータの損失が生じるリスクがあります。同様にサイバー攻撃の被害に遭ってしまえば、社内の機密情報が盗まれたり顧客情報が漏洩したりする危険性が高いです。
従来はデスクトップを仮想化するシンクライアントサービスがその対策に使用されていましたが、コストがかかり、オフラインで使用できないといった問題があります。
これらの問題を解決するために導入が加速しているのが、データレスクライアントです。データレスクライアントは、導入時も自社のネットワークを増築したり専用端末を使用したりする必要がないため、シンクライアントに比べてコストが抑えられ、オフラインでも使用できるというメリットがあります。
シンクライアントについては、以下の記事をご参照ください。
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シンクライアントとは?普及が進む背景や仕組み、メリット・デメリットを解説
データレスクライアントの仕組み
データレスクライアントはPCに専用ソフトウェアをインストールし、データが内部ストレージに保存しないように設定されており、サーバー内で管理されるという仕組みで成り立っています。必要なデータはサーバーから都度取得し、作業内容が随時サーバーに同期されます。これによって、PC内で作業をしてもサーバー内のデータがローカルに残ることはありません。
そのため、PCの紛失や盗難が発生しても、アクセスをロックすることができ、大事なデータが第三者によって悪用されるリスクを低下させられます。
デスクトップ仮想化との違いとは
デスクトップ仮想化とは、サーバー上に仮想のデスクトップ環境を構築して端末から遠隔操作できるようにする仕組みのことです。これによって各種端末から同じデスクトップを使えるようにできます。
OSやソフトウェアがサーバー上に置いてあるので、データを手元の端末に残すことなく作業ができます。この点においてはデータレスクライアントと同じです。
シンクライアントやVDIと呼ばれるデスクトップ仮想化は、通信速度の遅延や処理速度の低下などの問題が起きやすいというデメリットがあり、オフライン環境での使用ができません。データレスクライアントはデータだけをサーバーに保存するので、OSやソフトウェアなどは端末内に残ります。
これによってオフラインでの作業が可能になっています。
また、データレスクライアントはソフトウェアをインストールするだけで使えるので、導入しやすいというメリットがあります。
シンクライアントとVDIの違いについては以下の記事へ。
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シンクライアントとVDIの違いとは?VDIの4つの方式や選び方を解説
データレスクライアントのメリット
データレスクライアントのメリットを解説します。
情報漏洩を防ぐことが可能
データレスクライアントを使用したPCは、ローカルにデータを保管しないので、仮にPCの紛失・盗難や、サイバー攻撃の被害に遭っても社内のデータが盗まれる心配がありません。
そのため、社外で作業をする際にも高いセキュリティ性を確保できます。
社内でも社外でも使用可能
インターネットに接続できる環境があれば、データレスクライアントPCを社内と社外のどちらからでも使用が可能です。データはクラウド上で保存するので、ファイルの編集や追加をどこからでも行えます。
PCを起動すればいつでもデータの確認ができるので、テレワークの導入促進になります。
BCP(事業継続計画)対策にもなる
データレスクライアントPCの使用はBCP対策にもなります。
BCP対策とは、企業が災害や事件に巻き込まれた際に事業継続に必要な資産の被害を最小限に抑え、事業の早期復旧を図れるよう、普段から行う活動や緊急時の行動内容を取り決めておくことです。
データレスクライアントPCでアクセスするクラウド上のデータに対し、異なる複数のデータセンターで同時にバックアップをとってくれる「同時自動複製」の対策をとれば、BCP対策ができて有事に備えたデータ運用ができます。
データレスクライアントのデメリット
データレスクライアントのデメリットを解説します。
PCの利用環境の管理が必要
データレスクライアントPCでは、サーバーでPCのOSやソフトウェアの更新状態の管理はできません。普段使用するソフトウェアのバージョン管理やネットワーク環境の整備なども同じです。
そのため、PCのユーザーが利用環境を常に管理する必要があります。
運用ルールの作成と従業員への説明が必須
データレスクライアントPCを使用するためにはデータの扱い方についてルールを作成し、それを従業員に対して説明する必要があります。
ローカルやUSBメモリなど、ユーザー個人の厳重な管理が求められる環境にデータの保存を許可するかどうかも、ルールに明記しておきましょう。その後はルールとデータへのアクセス方法について従業員に説明します。
ネットワークがないとサーバー上のデータを読み込めない
データレスクライアントでは、インターネットに接続できる環境がなければサーバー内のデータを読み込むことができません。
クラウド上のサーバーにアクセスしなければ、データの編集や保管ができないので、ネット環境の利用は必須です。
データレスクライアント製品選定のポイント
データレスクライアント製品を選定する際のポイントについて解説します。
オフライン利用への対応の有無
オフラインで使用できるかどうかを確認しましょう。オフライン環境でPCを利用することもあるので、そのような場合に、オフラインでデータを保存できる仕組みになっているかが重要です。
保存先の制御
保存先を制御できるかも確認しましょう。指定箇所以外へのファイル保存をしたくない場合は、セキュリティ対策として保存先の指定・制御ができるかを確認しておく必要があります。
保管先はクラウド上かオンプレ上か
データの保管先がクラウドかオンプレミスかもチェックしましょう。多くの製品は保管先がクラウドファイルサーバーですが、社内の環境に保管したい場合は社内の環境に対応した製品を選びましょう。
データレスクライアントは低コストで導入しやすい
データセキュリティ対策として従来導入されてきたシンクライアントは、高いセキュリティ性の一方で導入コストがかかる点や、ネットワーク環境によっては操作の遅延や作業効率の低下が問題視されてきました。データレスクライアントはセキュリティの高さはそのままに、導入の際のコストが抑えられ、操作も比較的安定しているというメリットがあります。
データレスクライアントはオフラインでの使用が可能か、保存先の制御ができるかなど、自社の業務環境に合わせて選びましょう。
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