シンクライアントの利用については、調査結果をまとめた以下のダウンロード資料もご覧ください。シンクライアントの利用の実態や、失敗しない仮想デスクトップの選び方を紹介しています。
感染症対策として、または働き方改革の推進によりテレワークやリモートワークが増加するとともに、「シンクライアント」という仕組みへの関心が高まっています。シンクライアントとはどのような仕組みのことを指すのでしょうか。本記事では、シンクライアントという言葉の意味、普及が進んでいる理由、シンクライアントの種類や導入のメリット・デメリットについて解説します。
目次
シンクライアントは、「Thin(薄い)」「Client(クライアント)」の2つの単語からなる言葉です。クライアントと呼ばれる手元の端末側では必要最低限の処理だけを行い、アプリケーションの実行やデータ管理などのほとんどの処理をサーバー側で行う仕組みを指します。シンクライアントの環境では、ユーザーが実際に使う端末は「サーバーに接続し、処理結果を画面に表示する」性能だけがあればよいことになります。
一方で、シンクライアントの対義語に「ファットクライアント」があります。「Fat(厚い)」「Client(クライアント)」の2つの単語からなる言葉です。アプリケーション実行やデータ保管機能を持った端末、通常のPC環境のことをいいます。
シンクライアント自体は新しい考え方ではなく、1990年代後半に広まりはじめました。当時、企業内には各クライアント端末を統括するためのサーバーが設置されました。しかし、クライアント端末側にデータを保管できる環境では情報漏洩の危険性があり、台数が増えれば運用の手間も増してしまいます。サーバー側で一括管理できるシンクライアントは、内部統制システムの一種として、またクライアント端末の導入コスト削減策としても有効であったため、順次導入されました。
シンクライアントと関連する用語に、「DaaS(ダース)」があります。DaaSとは「Desktop as a Service」の略称で、インターネット環境を介してデスクトップ環境を構築するクラウドサービスの1つです。VDIの一種であり、時間も場所も利用端末も限られることなく仮想デスクトップを共有できるうえ、サービスとして提供されているため、インフラの運用や管理はベンダー側で行うことが可能です。
シンクライアント自体は新しい考え方ではないものの、現在なぜ注目を浴びているのでしょうか。その理由を紹介します。
理由として主に挙げられるのが、テレワークやリモートワークの普及です。現在は、働き方改革や感染症対策として、テレワークやリモートワークの重要性が増しています。働く場所が多様化するなか、データ保管やアプリケーション処理が可能な従来のファットクライアント環境では、セキュリティ対策に抜けが生じやすいとされています。
そこで、テレワークやリモートワークに伴うセキュリティリスク、主に情報漏洩のリスクを軽減するため、シンクライアントが再び注目されるようになったのです。シンクライアントではデータが端末に保存されず、端末自体にアプリケーションをインストールできないため、情報漏洩やマルウェア感染のリスクを抑えられます。そのため、テレワークやリモートワーク、在宅勤務、コワーキングスペースなどの場所を問わず、業務を行うことが可能なのです。
テレワークのセキュリティ対策について詳しくは、以下をご参照ください。
シンクライアント端末はその特性上、ファットクライアント環境に比べてコストがかからない傾向にあります。そのため、テレワークやリモートワークを行う際に、業務端末を購入して貸与する場合でもコスト削減が期待できます。また、業務に使うアプリケーションをサーバー側で管理することから、複数端末にアプリケーションをインストールする必要がなくなり、ライセンス購入のコストを下げられます。
ハードウェアやソフトウェアの性能が、実用に耐えられる水準になったことも大きいでしょう。ハードウェアと仮想化技術が進化したことにより、物理サーバーが1つであっても、多数の仮想マシンを構築できるようになりました。シンクライアントでの操作が、従来のファットクライアントでの操作と遜色(そんしょく)なく行えるようになったことで実用性が増し、選択肢として選べるようになったのです。
シンクライアントを導入するメリットやデメリットを紹介します。
シンクライアントを導入すると、デバイスにデータが残らないため、情報漏洩などセキュリティ面で安心です。また、私物のPC、スマートフォンやタブレットなどで業務を行う(BYOD)ことができ、従業員のワークスタイルに合わせて利用ができる点や、一元管理ができることにより、サーバー側も管理しやすくなります。それにより、管理者・従業員の負担や、運用管理のコスト削減につながります。
一方で、デメリットとしては、メインサーバーで処理や管理を行うため、複数の端末で同時利用したりすると、サーバーへの負荷が大きくなります。また、サーバーに障害が発生した場合などは、すべての端末で業務が止まってしまうこともあり得ます。もちろんネットワーク環境は必須ですが、その際、信頼性が高く安定したネットワーク環境を構築する必要があります。
シンクライアントの4つの実行方式と、対応端末について解説します。
画面転送型はさらに3つの種類に分類できます。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
関連記事シンクライアントの端末は、大きく分けて4つに分類できます。
シンクライアント製品を選ぶ際は、前述の種類を踏まえたうえで自社に合うツールを選ぶ必要があります。ポイントは以下の2点です。
シンクライアントで主流の画面転送型でも、環境は3タイプあります。一元管理を重視するならサーバーベース型、ハイスペックな処理が必要ならブレードPC型、セキュリティ対策にもこだわりたいならVDI型がよいでしょう。
クライアント端末は4種類あります。すでにファットクライアント端末を導入しているならUSB型やソフトウェアインストール型、これから支給する端末を購入するのであればモバイル型、高度な処理を必要とするならデスクトップ型がよいでしょう。
テレワークやリモートワークの普及とともに、注目を浴びるようになったシンクライアント。アプリケーションの実行やデータ管理などのほとんどの処理をサーバー側で行うため、データが端末に保存されず、情報漏洩やマルウェア感染のリスクを下げることができます。セキュリティ面のメリットはさることながら、ファットクライアント端末に比べると、運用がしやすい点もメリットといえます。
CACHATTOが展開しているCACHATTO SecureContainerは、 PC上に隔離領域を作成しそのなかで業務を行う、セキュアなリモートワークに最適なデータレスクライアントサービスです。DaaSやVDIなどとは異なり、クライアント端末上の隔離された領域をシンクライアントとして使います。業務終了時はその領域を削除するため、情報漏洩のリスクも削減でき、よりセキュアでシンクライアントソリューションの導入を実現しています。仮想環境を構築したり、新たにハードウェアを用意したりする必要もなく、低コストで導入も手間をかけずに行えます。シンクライアントの導入をお考えの際は、ぜひ一度ご検討ください。
今回解説したシンクライアントについては、代表的な方法であるVDI、DaaSの利用実態を調査しそのレポートを紹介した資料「300社の調査結果から読み解くVDI/DaaS利用企業のホンネ」もぜひご参照ください。
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