自治体でテレワークを導入するには?現状や課題、成功事例を紹介
2022.12.26投稿、2022.12.26更新
都道府県や市区町村などの自治体がテレワークを導入するためには、業務やセキュリティ対策などのさまざまな課題を解決する必要があります。感染症対策や多様な働き方への対応としてテレワークが推奨される現在、自治体でテレワークを導入するためにはどんなことが必要なのでしょうか。
本記事では、自治体でテレワークを導入するにあたって、テレワークの現状や考えられる課題とその解決策、すでにテレワークを導入している自治体の成功事例を紹介します。
自治体におけるテレワークの現状
民間企業ではテレワークが一般的になってきていますが、自治体職員、地方公務員においては、どの程度リモートワークが普及しているのでしょうか。
総務省が令和3年度(2021年)に行った「地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要」によれば、都道府県・政令指定都市ではすべてテレワークを導入済み(100%)という結果になりました。一方で、市区町村で導入している割合は、職員数101人以上の団体で約6割、100人以下の団体で2割強にとどまっています。小規模な団体ほどテレワークの導入が進んでいない傾向にあることがうかがえます。
未導入の団体について、テレワークを今後導入する予定があるかどうかも調査したところ、今後もテレワークを「導入する予定がない」、もしくは「未定」と答えた市区町村団体が、職員数101人以上で約3割、100人以下では約7割にものぼりました。都道府県や政令指定都市と比べて、市区町村では今後もテレワークを導入する予定がない団体も多いです。
しかし、導入率は着実に増加しています。2019年10月1日の時点と比較すると、都道府県では89.4%から100%へ、政令指定都市では70.0%から100%へ、市区町村(101人以上)では2.6%から60.4%へ、市区町村(100人以下)では0%から21.7%へと、すべての団体種別で増加していることがわかります。
※地⽅公共団体におけるテレワーク推進のための⼿引き|総務省自治行政局公務員部および地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要|総務省をもとに作成
導入しているテレワークの形態
上掲した総務省の調査によると、テレワークを導入している団体において、導入しているテレワークの形態は、都道府県・政令指定都市でほぼ100%が「在宅勤務」です。一方、離れた場所に設置されたオフィスで業務を行う「サテライトオフィス」は都道府県で約85%、政令指定都市で60%、市区町村では約27%です。さらに、モバイル端末を使って業務を行う「モバイルワーク」は都道府県で約90%、政令指定都市で約85%を占めますが、市区町村では約16%と低くなっています。
※地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要|総務省をもとに作成
これは、主に市区町村においてテレワークの導入が感染症対策として行われた結果、感染症対策がしっかり行える在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務は推奨されたことがうかがえます。一方で、業務を行う場所を指定できず、在宅勤務やサテライトオフィスと比べると感染症対策として不十分と考えられるモバイルワークの導入が進まなかったためと考えられます。
自治体におけるテレワーク導入の課題
ここまで見てきたように、市区町村の自治体ではまだまだテレワークの導入が進んでいません。そこで、自治体がテレワークを導入するためにどんな課題が考えられるか解説します。
業務の限界
市区町村の自治体でテレワークが進まないもっとも大きな理由として、テレワークでできる業務には限界があることが挙げられます。特に地方公共団体では、まだまだ紙ベースで業務が行われていることも多く、必然的にその場にいないとできない業務、対面でないと行えない業務が多いのです。
セキュリティの問題
市区町村の自治体では個人情報を取り扱う業務が多く、特に近年導入されたマイナンバーカードなどは非常に取り扱いに注意が必要です。テレワーク時には強固なセキュリティの確保が必要です。外部のPCから庁内ネットワークへ安全にアクセスができなければ、こうした取り扱い要注意の業務を行うことはできません。
導入にコストがかかる
テレワークの導入にはPCやWi-Fiルーターなどの備品を購入したり、各種システムを構築したりするコストがかかります。そのための予算を組むのが難しいと、慎重にならざるをえない地方公共団体も少なくありません。
勤怠管理の難しさ
従来のタイムカードを打刻したり、出勤を目視で確認したりできる勤務形態とは異なるため、長時間労働や勤務実態を把握しにくくなります。管理者が業務量を把握できていないと、各人の業務量に偏りが出たり、長時間労働の回避が難しくなったりしてしまいます。
自治体がテレワークを実現するためのポイント
市区町村の自治体がテレワークを実現するためには、上記の課題に対する解決策が必要です。課題を解決するためのポイントを紹介します。
業務フローの見直し
業務フローを見直し、出勤しなければ対応できない業務とテレワークで遂行できる業務とを切り分けましょう。紙ベースでの業務は電子化できるかどうかも見直しが必要です。
セキュリティ対策を行う
テレワーク導入にあたりセキュリティ対策を万全にします。例えば、リモートデスクトップ方式やセキュアブラウザ方式の採用、リモートアクセスツールの使用、通信の暗号化などがあります。LGWANがつながっている支所などの公共施設があれば、セキュリティを確保しながら業務が行えるでしょう。
テレワークのセキュリティ対策について詳しくは、以下をご参照ください。
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【事例あり】テレワークに必要なセキュリティ対策とは?技術面と運用面から解説
LGWANについて詳しくは、以下をご参照ください。
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スモールスタートで始める
職場全体で一斉にテレワークを導入するのは難しいでしょう。そこで、まずは実施しやすい業務やテレワークのニーズが高い職員に限定して、少しずつ導入していくのがおすすめです。
状況に合わせて勤務形態を変える
勤怠管理を厳しく行いたいなら、サテライトオフィスでタイムカードを打刻させる、勤怠管理ツールを導入するといった方法が考えられます。各種工事などの現場を確認する、地域住民を対象とした保健サービスを行うなどのオフィス外での活動が多い業務の場合は、モバイルツールを使って確認事項や報告事項を現場で整理し提出するモバイルワークも効率的です。長時間労働の抑制にもつながるでしょう。
テレワークの導入に成功した自治体の事例
最後に、テレワークの導入に成功した自治体の事例を3件紹介します。
事例1:政令指定都市A
政令指定都市Aでは、新型コロナウイルス感染症拡大前から、働き方改革の一環としてテレワーク、オフィスのフリーアドレス化、フレックスタイム制度などを導入していました。これらの導入にあたっては、ペーパーレス化・電子決裁化など業務のICT化はもちろん、コミュニケーションツールの利用も組み合わせ、庁舎を離れても途切れず業務が行えるようにしています。
事例2:地方公共団体B
地方公共団体Bでは、テレワーク時の在席状況を確認したり、業務を依頼したりする際に自治体専用ビジネスチャットを利用しています。庁内ではLGWANを使いますが、庁外では私用携帯からでもアクセスが可能です。実証実験でコミュニケーションの円滑化や業務効率化に効果が見られたため、正式に導入されました。
事例3:中核市C
中核市Cでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてテレワーク、在宅勤務の本格的な導入を開始しました。担当業務を可視化できるシートを活用し、業務フローを見直すことで、工夫次第でテレワークが行えないか検討しています。それと同時に、業務のICT化やコミュニケーションツールの利用も推進しています。
参考:地⽅公共団体におけるテレワーク推進のための⼿引き|総務省自治行政局公務員部
自治体のテレワーク導入にはセキュリティ対策などの課題解決が重要
総務省による令和3年(2021年)度の調査では、都道府県や政令指定都市などの大きな自治体ではテレワークの導入が進んでいるのに対し、市区町村のなかでも人口が少ない場所ではテレワークの導入が進んでいない現状が明らかになりました。自治体でテレワークを導入するためには、セキュリティ対策や業務フローの見直しなど、テレワーク実施を阻む課題への解決策が必要です。
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