リモートアクセスの移行検討で押さえたいポイント | VPNとデータレスクライアントの選択肢
2026.09.03投稿、2026.09.03更新
テレワークやハイブリッドワークの定着により、社外から社内のシステムへ安全に接続するリモートアクセスは、多くの企業で欠かせない仕組みになっています。一方で、運用の負荷やコスト、そして利用中のサービスの提供終了をきっかけに、リモートアクセス環境の移行を検討する企業も少なくありません。本記事では、リモートアクセスの移行を検討する際に確認しておきたいポイントと、移行先の選択肢を整理して解説します。
いま、リモートアクセス環境が移行の局面にある
リモートアクセスは、手元の端末から社外のネットワークを経由して、社内のサーバーや業務システムに接続する仕組みです。テレワークの普及にともない、多くの企業が何らかのリモートアクセス手段を導入しています。
一方で、導入すればそれで終わり、というわけではありません。当社が2025年に情報システム担当者を対象に実施した調査では、リモート接続手段を導入したあとに運用・管理の負荷が増えたと感じている企業が、約8割にのぼりました。接続方式にかかわらず、価格や運用の手間、セキュリティ対応が共通の課題として挙がっています。
こうした運用面の課題に加えて、利用中のサービスが提供終了を迎えると、環境を見直す大きなきっかけになります。提供が終了すれば、機能の改善やセキュリティ上の対応が受けられなくなるためです。
提供終了が予定されているリモートアクセスサービスの例
リモートアクセスサービスのなかには、提供終了が案内されているものもあります。NTTドコモビジネスが提供するリモートアクセスサービス「モバイルコネクト」は、2024年8月27日をもって新規販売を終了し、メニューごとに提供終了日が案内されています。
| メニュー |
提供終了日 |
| SSL-VPNアクセスGW共有型 |
2026年12月23日 |
| アプリケーションアクセス |
2027年2月28日 |
| SSL-VPNアクセスGW専有型(P) |
2027年12月24日 |
| SSL-VPNアクセスGW専有型(C) |
2027年12月24日 |
| Radius連携 |
2027年12月24日 |
提供終了までにはまだ期間がありますが、終了後はサービスを利用できなくなるため、早めに移行先の検討を始める企業も出てきています。なお、各メニューの正確な受付終了日や条件は、提供元の公式なお知らせで確認してください。次の章では、リモートアクセスの移行先を検討するときに確認したいポイントを整理します。
※モバイルコネクト 利用規約改定のご案内 | Smart Data Platform Knowledge Center
リモートアクセスの移行先を検討するときの確認ポイント
移行先を検討するときは、製品名やブランドで決めるのではなく、自社の環境や運用に合うかどうかで判断することが大切です。ここでは、方式を問わず確認しておきたいポイントを紹介します。
既存の業務スタイルやシステムをそのまま活かせるか
移行にあたっては、いまの業務のやり方や既存のシステムをどこまで引き継げるかが、導入の負荷を左右します。利用者が使い慣れた操作を大きく変えずに済むか、社内の既存サーバーやアプリケーションにそのまま接続できるかを確認しておきましょう。移行のたびに利用者への教育や運用ルールの見直しが発生すると、情報システム部門の負担も大きくなります。
認証とアクセス制御の強度
リモートアクセスは社外からの接続を前提とするため、なりすましや不正アクセスを防ぐ仕組みが重要です。パスワードだけの認証では、認証情報が漏れた際に第三者が正規の利用者になりすまして侵入できてしまいます。
多要素認証や端末の認証に対応しているか、利用者や端末ごとにアクセスできる範囲を制御できるかを確認しましょう。認証やアクセス制御の選択肢が多いほど、自社の運用に合わせた柔軟なセキュリティ設計ができます。
運用・管理の負荷
リモートアクセスは、導入して終わりではなく、その後の運用が続きます。機器を自社で保守する必要があるか、脆弱性が公表された際の対応をどこまで自社で担うことになるか、アカウントの追加や削除といった日常的な管理の手間はどの程度かを確認しておきましょう。運用の負荷は、情報システム部門の人員や体制と直結する重要な観点です。
コスト構造
コストは、初期の導入費用だけでなく、運用にかかる継続的な費用まで含めて把握することが大切です。利用者数に応じたライセンス費用、機器の購入や保守の費用、同時接続数による料金の違いなど、料金の体系は方式や製品によって異なります。将来的に利用者が増減した場合に、費用がどう変わるかも確認しておくとよいでしょう。
移行のしやすさと試用のしやすさ
最後に、移行そのもののしやすさも確認しておきましょう。無償で試用できる期間があるか、試用時の設定を導入後に引き継げるか、導入時や運用中のサポート体制が整っているかといった点です。自社の実際の環境で事前に試せると、操作感や動作を確認したうえで移行を判断できます。
リモートアクセスの移行先の選択肢
ここまで紹介したポイントを踏まえ、前段でご案内したVPNサービス「モバイルコネクト」のサービス終了に伴った移行先の選択肢を整理します。移行先には、大きく2つの方向性があります。ひとつは、これまでと同じVPN方式を継続する方向。もうひとつは、VPNとは異なる方式に切り替える方向です。以下にて、代表的な選択肢を紹介します。
VPN方式を継続する場合:クラウド型VPN
これまでVPNを利用してきた場合、同じVPN方式のサービスへ移行すれば、利用者の使い方や運用の仕組みを大きく変えずに済みます。移行にともなう教育や設定変更の負担を抑えたい場合は、VPN方式の継続が現実的な選択肢です。
当社が提供する「ニンジャコネクトVPN」も、この方式のサービスです。VPN機器をインターネットに公開しない構成のため、外部に接続用の受け口を持ちません。認証やアクセス制御はクラウド側で一元的に管理でき、機器の保守やアカウント管理といった運用の手間も抑えられます。
VPN以外の方式も検討する場合:データレスクライアント
サービスの移行は、接続方式そのものを見直すよい機会でもあります。VPNからVPNへ移行するのが素直な選択ではありますが、この機会に方式ごと見直すという考え方もあります。
その選択肢のひとつが、データレスクライアントです。当社では「セキュアコンテナ(SecureContainer)」として提供しています。普段使っているPCそのものをデータレス化し、業務データはクラウドやファイルサーバーに自動でバックアップされます。社内リソースへのアクセスには、機器をインターネットに公開しないセキュアなVPNを組み合わせます。VPN方式にこだわらず、リモートアクセスの仕組みを根本から見直したい場合の選択肢になります。
よくある質問
Q. リモートアクセスサービスの提供終了後、移行先にはどのような選択肢がありますか?
大きく分けて、これまでと同じVPN方式を継続する選択肢と、VPN以外の方式に切り替える選択肢があります。移行先を選ぶ際は、既存の業務スタイルを活かせるか、認証やアクセス制御が十分か、運用・管理の負荷やコストはどうか、といった観点で比較することをおすすめします。
Q. VPNからVPNへ移行する場合、どのような方式がありますか?
社内に設置した機器をインターネットに公開する従来型のVPNのほか、クラウドのゲートウェイへ接続するクラウド型のVPNがあります。クラウド型は、インターネットにVPN機器を公開しない構成のため、機器の保守や管理の負担を抑えやすいという特徴があります。
Q. 提供終了が予定されているサービス(モバイルコネクトなど)からの移行先には何がありますか?
VPN方式を継続する場合はクラウド型VPN、方式そのものを見直す場合はデータレスクライアントなどが選択肢になります。いずれも、社外から社内の業務環境へ安全に接続するための方式です。
自社に合ったリモートアクセス環境を検討しよう
リモートアクセスは多くの企業で使われている一方、運用の負荷やサービスの提供終了をきっかけに、移行が必要になる場面があります。移行先を選ぶときは、ブランドではなく、既存資産の活用、認証やアクセス制御、運用の負荷、コスト、移行のしやすさといった観点から、自社に合うかどうかを判断することが大切です。本記事で紹介したポイントを参考に、自社に最適なリモートアクセス環境を検討してみてください。
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