ローカルブレイクアウトとは?仕組みやメリット・デメリットについて解説
2024.05.01投稿、2024.05.01更新
企業が持つネットワークのトラフィック量は、クラウドサービスの利用拡大によって増加傾向にあります。トラフィックの増加によるネットワーク通信速度の遅延は、業務上の大きな問題です。特に日本では、ITインフラの整備が追いついていない企業が多く、通信環境の改善に対応できなければ、業務効率の悪化が懸念されます。
ローカルブレイクアウトは、トラフィック急増に対する解決策として期待される機能です。今回は、ローカルブレイクアウトについて詳しく知りたい人や導入方法を知りたい人向けに、ローカルブレイクアウトの特徴や仕組み、導入するメリット・デメリットなどを解説します。
導入時の注意点に対応するツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ローカルブレイクアウトとは
ローカルブレイクアウトとは、インターネット通信についてデータセンターを経由せずに、拠点から直接アクセスするネットワーク構成のことです。クラウドサービスなどの特定の通信のみに適用させることが一般的です。
現在の社会では、DX(デシタルトランスフォーメーション)のように、業務プロセスの改善からビジネスモデルの転換を図る動きが進んでいます。ローカルブレイクアウトは、DXに用いられるクラウドサービスや、ネットワークに接続したデジタルツールの遅延の予防に効果的です。
将来的には、現在よりも取り扱うデータ量が増えると予想されます。それに対応する通信環境の改善策として、ローカルブレイクアウトは現在注目されています。
ローカルブレイクアウトが求められている背景
多くの企業は、ネットワークをデータセンターのプロキシに集め、トラフィックを監視しています。しかし、トラフィックが増加しすぎると通信速度が低下し、業務が遅延する可能性が出てきます。
特に、クラウドサービスの利用が拡大した現在では、トラフィックの増加による通信速度の低下は起こりやすくなっています。そのため、ローカルブレイクアウトが注目されているのです。
総務省が発表している「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算(2023年11月集計値)」では、2023年の固定系ブロードバンドサービス契約者のダウンロードトラフィックは2022年11月よりも18.1%増加したという結果がまとめられています。
つまり、ローカルブレイクアウトの導入は、インターネット回線を日常的に利用する企業にとって、必要な対策だといえるのです。
ローカルブレイクアウトのメリット・デメリット
ローカルブレイクアウトのメリット・デメリットを解説します。
メリット
- ネットワーク機器にかかる負荷軽減
ローカルブレイクアウトは、データセンターを経由せずにネットワークに直接接続するため、トラフィックが集中しなくなります。よって、クラウドサービスやSaaSを利用する際のネットワーク機器への負荷の軽減につながります。
- 通信回線のコスト抑制
データセンターを経由せずに直接ネットワークに接続することには、通信回線のコストを抑える効果も期待できます。通信にかかるコストが改善されれば、削減されたコストをDXやさらなるデジタルツールの導入などにかけられるでしょう。
- アプリケーションを遅延なく利用可能
ローカルブレイクアウトの実施により通信速度が改善されるため、アプリケーションを遅延なく利用できます。
クラウドサービスやアプリケーションの導入は、生産性の向上や業務効率化に有効です。しかし、ネットワーク環境がそれに追いついていなければ、本来の性能を発揮しきれません。ローカルブレイクアウトの実施は、クラウド利用時の通信環境の問題を改善し、サービス本来の性能の発揮につながるのです。
デメリット
- 各拠点で適切なセキュリティの担保が必要
ローカルブレイクアウトを実施するためには、各拠点のセキュリティを強化する必要があります。データセンターを介さないことで、センターで実施しているファイアウォールなどのセキュリティ対策が受けられないからです。データセンターを介さない通信をターゲットとしたサイバー攻撃もあるので、拠点ごとの対策が必要です。
具体的には、拠点ごとにファイアウォールやアンチウイルスソフトを導入するといった対策があります。
- フィッシング詐欺など新たなセキュリティリスク
クラウドサービスを利用する際は、サービスを偽った偽サイトによるフィッシング詐欺に注意する必要があります。ローカルブレイクアウトでは、データセンターのセキュリティが適用されないため、よりセキュリティに注意が必要です。
また、ローカルブレイクアウトを実施する際は、専用の帯域も確保する必要があります。セキュリティ対策と帯域確保に必要なコストがどの程度かを見積もり、実施するかどうかを決定しましょう。
ローカルブレイクアウトを実現するSD-WANとは
SD-WANは「Software Defined WAN」の略称です。これは「ソフトウェア定義型広域ネットワーク」を意味する言葉であり、物理的なネットワーク上に構築したWANに仮想WANを構築する技術です。
WANとは「広域ネットワーク」のことをいいます。拠点同士をつなぐWANをソフトウェアの使用で統合管理し、仮想的なネットワークを構成してトラフィックの流れを一元的に操作します。
これによって例えば、信頼性の高いクラウドサービスのアクセスを行いつつ、サイバー攻撃に利用されやすいアプリケーションについてはデータセンターを経由してアクセスできます。
ローカルブレイクアウトを導入する際の注意点
ローカルブレイクアウトを導入する際は、セキュリティに注意する必要があります。
従来型のデータセンターに集約させるタイプのネットワークでは、データセンターを経由する通信を一元管理すればセキュリティ性の担保ができました。しかし、ローカルブレイクアウトの場合はデータセンター内のセキュリティ機器を経由しないので、セキュリティリスクが上昇するという問題があります。
そのため、ローカルブレイクアウトを導入する際は、以下の2点を重視することが大切です。
ネットワークを可視化することで、現行ネットワークが遅延する原因を特定できます。また遅延対策として、どのネットワークをブレイクアウトの対象にするかを見極められます。セキュリティ対策の徹底は情報漏洩を防ぐために必要です。
このような新たなセキュリティ課題への対策として注目されているのが、SASE(Secure Access Service Edge)です。詳しくは以下の記事をご確認ください。
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SASEとは?メリットやゼロトラストとの違いをわかりやすく解説
ローカルブレイクアウトは通信速度の遅延を防ぐ仕組み
ローカルブレイクアウトはネットワークのトラフィックが増加した現在、通信速度の遅延やネットワーク機器にかかる負担増加を抑制するための仕組みとして注目されています。
多くの企業でクラウドサービスが利用されるいま、ローカルブレイクアウトは導入を積極的に検討したい仕組みです。しかし、導入の際はネットワークの可視化やセキュリティ対策の徹底が必要です。
「CACHATTO SecureContainer」は、安全なPC業務環境を提供するデータレスクライアント サービスです。PC上に隔離業務領域を生成し、その内部のデータを保護します。業務領域内でのみVPN回線が有効化され、それを経由してクラウドサービスやオンプレミスへとアクセスできます。
さらにWeb会議など通信量の多いクラウドサービスを利用する際は、ローカルブレイクアウトを行うため快適にサービスを利用できます。業務で利用するデータは領域内でのみ扱うことができ、安全な領域内でのみVPNが有効化されるため、ローカルブレイクアウトの導入時に懸念点となるセキュリティ性の問題にも対応可能です。気になった方は、ぜひ以下のページより詳細をご確認ください。
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