コールセンター業務をテレワーク対応するには?必要な環境や導入事例を紹介
2022.12.26投稿、2022.12.26更新
テレワークの普及により、コールセンター業界でもテレワーク化を進める動きがあります。しかし、テレワークの導入を検討していても、「現在使っているシステムでは対応できない」「セキュリティ面の問題が大きい」といった理由から、実現できていない企業も多いのが現状です。コールセンター業務をテレワーク化することには複数のメリットがあり、上記の課題を解決できれば導入も不可能ではありません。
本記事では、コールセンター業務のテレワーク化が必要な理由や、解決すべき課題、業務をテレワーク化する方法について解説します。また、実際にコールセンター業務のテレワーク化に成功した事例も紹介します。
コールセンター業務のテレワーク化とは
近年、新型コロナウイルスの流行を機に、コールセンター業務をテレワーク化する動きが進んでいます。その背景にあるのは、以下の事柄です。
- ネットワークやインフラ技術が進歩したこと
- 感染症対策のため出社率の調整が必要なこと
- 人員不足により労働者の確保が難しいこと
コールセンターは通常、建物の一室にオペレーター全員が着席し、同じ空間で作業をする業務形態であるため、感染対策の面から考えてもあまり好ましい勤務環境とはいえません。
テレワーク化することにより、オペレーターの負担軽減による人員確保や感染症対策の推進ができるので、在宅での業務体制に移行する動きがあるのです。
テレワーク化の現状は?
現在、コールセンター業務のテレワーク化を進める企業は増加傾向にあります。
一般社団法人日本コールセンター協会が行った「2021年度 コールセンター企業 実態調査」によると、2021年度の調査時点で在宅テレコミュニケーターがいる企業は13社です。過去3年間の推移を見ると、2019年度調査時の3社から、「2020年度 コールセンター企業 実態調査」で一気に14社に増えており、2021年度も同レベルを維持しています。また、在宅テレコミュニケーターの数も、新型コロナウイルスの流行以後に増加していることから、感染症対策のためにテレワーク化に前向きな企業が増えたと考えられます。
業務をテレワーク化すべき理由やメリット
コールセンター業務をテレワーク化すべき理由は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応だけではなく、以下の理由があります。
- 業務効率化が図れる
- 慢性的な人手不足の解消になる
- BCP(事業継続計画)対策になる
- 従業員満足度(ES)の向上になる
特にBCP対策は、台風や豪雨などの自然災害が頻発する現在、企業には欠かせない対策です。
BCPは、甚大な災害が起きた際でも事業を維持するための施策であり、テレワークもそのひとつに該当します。在宅勤務の環境が整っていれば、オフィスが被災した場合でも事業を継続できるからです。
コールセンターで働く従業員にとっても、自宅での勤務が可能になれば、働きやすい環境を確保することによる生産性の向上や業務効率化が期待できます。
コールセンターのテレワーク化の課題
コールセンターのテレワーク化がなかなか進まず、なかには検討段階で止まっている企業もあるでしょう。なぜコールセンターのテレワーク化が進まないのでしょうか。そこには以下のような課題があります。
セキュリティ面の課題
コールセンターで情報を扱う際は、顧客の個人情報の管理は非常に重要です。テレワークでは各オペレーターの自宅の通信回線を使うので、必ずしも高い水準のセキュリティ対策がされているとは限りません。
通信環境がオペレーターによって異なれば、顧客の個人情報が漏洩するリスクが高まってしまうのです。
このとき、オペレーターに個人情報の取り扱いを指導し、セキュリティ対策を万全にしたデバイスを貸与すれば、情報漏洩のリスクを抑えられます。デバイスを外部に持ち出すことを禁止すれば、物理的な対策も可能です。
品質管理が難しいという課題
コールセンターの管理者が、オペレーターのスキルレベルやその変化を知ることが難しくなります。
テレワークでのコールセンター業務は、管理者が現場で指導するケースとは異なり、オペレーターの経験や能力などが対応品質に大きく影響します。特に新人を育成する場合は、テレワークでの教育が難しく、従業員の習熟度を把握しにくくなるでしょう。
このとき、遠隔の場合でも必要な情報を管理できるAIシステムを導入する対策が考えられます。情報をリアルタイムで共有できるだけではなく、必要に応じて管理者がサポートすることによって、対応品質の統一や習熟度に応じた新人教育を実施することが可能です。
労務管理における課題
コールセンターの現場にいれば、オペレーターの勤務状況を実際に観察できますが、テレワーク化した場合は管理者側がそれを把握することが困難になります。
また、コールセンター業務は顧客からのクレーム対応が必要な場面もあり、ストレスを感じやすい仕事です。従業員が人知れずストレスで苦しみ、大きな問題に発展するリスクもあります。
この場合、テレワーク用のコールセンターのシステムを活用して、従業員の対応件数や休憩時間などの稼働状況をモニターする必要があります。働きすぎを防止するために、業務と休憩のバランスを調整し、勤務終了時にチャットで相談できるような体制を整備して、ストレスのケアに努めるとよいでしょう。
コールセンターをテレワーク化する方法
コールセンター業務をテレワーク化する手順について、導入時の注意点とあわせて解説します。
現状の業務量や使っているシステムなどを分析する
はじめに、業務量や使っているシステムは何か、テレワーク化に向けて出せる予算はどれくらいかなどを分析し、どこまでの範囲をテレワーク化できるのか、枠組みを把握します。
迅速にテレワーク化ができるか否かは、現在使用しているシステムや業務内容によって決まります。他社の導入事例を参考にしつつ対応を検討し、追加で導入すべきシステムがあるならベンダー調査も進めます。必要な費用や導入後の効果、リスクについても想定しておきましょう。
分析に必要な期間は数週間から数カ月ほどです。
導入計画を策定する
次に、導入計画を策定します。移行すべき業務の量、新システムを導入するか、何人のチーム構成にするかなどを明確にします。
そのうえで、導入は自社内で対応するのか、外部の専門家に協力を求めるかを決定します。数多くの承認や調整が必要なので、可能な限り段階ごとに文書化して計画内容を規定しましょう。
テレワーク化のフローを設計する
テレワーク化して使うシステムやネットワークの設定、オペレーターの業務フロー、業務必須事項の確認など各種必要なことを決定してシステムを導入します。
計画策定時に選定したPCやヘッドセットなどの機器や、クラウド型コールセンターシステムなどを導入しますが、その流れが円滑になるように役割分担を明確にして工程管理を行いましょう。
社内に詳しい人材がいない場合は、知見のある社外の人材に協力してもらい、対応を進めます。
設計をつくり込んでおけば、コールセンター業務もテレワーク化へすぐに踏み切れます。
コールセンターのテレワーク化に必要なもの
コールセンターのテレワーク化に必要なシステムやツールについて確認しましょう。
クラウド型コールセンターシステム
遠隔でも自宅で電話対応できるようにするためには、クラウド型のコールセンターシステム(CRM)が必要です。システムによって在宅コールセンターの質や管理内容も変わるので、慎重に選ぶ必要があります。
コールセンターの人数、業務のためにはどんなシステムが必要か、どのくらいの規模が必要かを考え、自社の環境に最適なシステムを選択しましょう。
顧客対応等の情報やナレッジ共有システム
テレワークでは、顧客対応に関する情報を対面で伝えて共有できないため、対応履歴やよくある問い合わせ、マニュアルなどは、テレワーク環境でも閲覧できるようにしなければなりません。
また、テレワークで業務を行う従業員の労務管理や電話対応のフォローなどができるように、情報共有やコミュニケーションのためのツールやシステムも導入しなければなりません。そのためには、チャットツールやタスク管理ツールがおすすめです。
チャットはリアルタイムで従業員と会話ができるだけでなく、文字で入力するため、作業を続けながらやりとりがしやすいことが特徴です。タスク管理ツールは従業員の業務進捗状況をひと目で把握できるので、情報を共有しやすくなっています。これらのツールは、業務中の使いやすさを重視して選ぶとよいでしょう。
稼働状況を把握するための勤怠管理システム
テレワークを導入する際は、勤怠状況を管理するシステムが必要です。テレワークでは勤務状況がわかりにくく、働いていない時間なのに勤務時間扱いになっている、残業しているのに勤務扱いになっていないといった問題が起こりえます。
問題を解消するためには、遠隔で働く従業員の勤怠状況を徹底して管理でき、稼働状況がすぐにわかるようなシステムを用意しましょう。
セキュリティ対策のとれたシステム
コールセンターは個人情報を扱うので、特に情報漏洩はあってはなりません。各種ツールやシステムを導入する際は、セキュリティ対策が万全なものを用意することが必要不可欠です。
私物端末で勤務する際も、リモートデスクトップやセキュアコンテナなどの、セキュリティ対策の施されたシステムを導入してリモートアクセスを行う必要があります。
コールセンターのテレワーク化の成功事例3選
コールセンターのテレワーク化に成功した企業の事例を3件紹介します。
事例1:某ソフトウェア開発会社
あるソフトウェア開発の会社では、窓口を一部縮小し、クラウドの電話システムを整え、社員が自宅で電話を受けられるようにしました。オペレーターと管理者間の連絡には顧客への対応品質の維持も視野に入れ、グループウェアとチャットを併用しています。
事例2:某保険会社
ある保険会社では、500人ものオペレーターを全員在宅で勤務できるようにしました。企業から業務に欠かせないヘッドセット、PC、Wi-Fiルーターなどを貸し出し、就業環境を整えるための補助金も用意しました。
セキュリティ対策も通信を暗号化して対応しています。
事例3:某電気製品メーカー
ある業務用電気製品メーカーでは、クラウド型の電話システムとCRMシステムを採用してテレワーク化を実現しました。カスタマイズ性の高いCRMシステムによってシステムの最小限の機能を安価で導入し、スピーディーに在宅化を実現しました。
コールセンター業務もテレワーク化を進める時代
コールセンター業務のテレワーク化を進めることには、人手不足の改善、業務の効率化などのさまざまなメリットがあります。ただし、セキュリティ面の問題があることや、業務専用PCを配布しなければならないなど、導入にあたっての障壁があることも確かです。
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詳しくは以下をご参照ください。
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