VDIとDaaSの利用については、調査結果をまとめた以下のダウンロード資料もご覧ください。VDI/DaaSの利用の実態や、失敗しない仮想デスクトップの選び方を紹介しています。
テレワークやリモートワークの普及により、VDI(仮想デスクトップ)を利用した業務環境の構築が進んでいます。それに伴い、業務上不可欠なWeb会議をVDI環境で行うことが増えています。しかし、VDI環境でWeb会議を行う場合には課題が多く存在します。本記事では、VDI環境下でWeb会議を行う際の課題と解決方法を中心に、事例も交えて解説します。
目次
VDIとは、日本語で「仮想デスクトップ」といい、サーバー上にデスクトップ環境を構築し、離れた場所にある端末から操作することです。デスクトップを直接端末上で動かすのではなく、何らかのソフトウェアを使って仮想的な環境を構築してその中で動かすことから、仮想デスクトップと呼ばれます。
デスクトップを仮想化することで操作する端末内にデータを残さないため、セキュリティ対策になります。また、サーバー上でアプリケーションを管理することで、不正なダウンロードを防ぐことも可能です。これは、私用のPCやスマートフォン、タブレットなどを業務に用いるBYODで特に有効なセキュリティ対策といえます。
なお、BYODのセキュリティ対策については、以下をご参照ください。
仮想デスクトップ(VDI)は、操作する端末で最低限の処理だけを行い、アプリケーションの実行やデータ管理などのほとんどの処理をサーバー側で行う、シンクライアントを実現する方法の1つです。デスクトップ環境を別に用意することで、操作する端末には最低限のスペックしか要求せずにすむことから、テレワークやリモートワークでの利用が進んでいます。それに伴い、VDI環境下でWeb会議が行われることも増えています。
VDIについて詳しくは、以下の記事もご参照ください。
VDIでWeb会議を行う際は、主に以下の2つの課題が生じます。
VDI環境下では、端末からWeb会議ツールへ直接接続するのではなく、端末からVDI環境を通じてWeb会議ツールに接続します。そのため、音声や映像は端末からVDIへ一度送られ、VDI上でエンコードされてからWeb会議サービスに送られるというように、間にワンクッション入ってしまうのです。すると、映像や音声が劣化してしまい、画質が荒くなる、声が聞こえにくくなる、話す速度が実際より遅くなるといった不具合が生じることがあります。
VDI環境下でWeb会議を行う場合、音声と映像を毎回VDI上でエンコードする必要があります。そのため、多くのユーザーが同時にWeb会議を行うと、VDIシステム自体に大きな負荷がかかり、システム構築当初に想定していたCPU負荷を超えてしまう可能性があります。すると、音声や映像が劣化してWeb会議が成り立たなくなるほか、Web会議に参加していないほかのユーザーの業務が滞ってしまうことも考えられます。特に、画像処理を行うGPUなしのVDI構成ではグラフィック処理能力が重要視されていないため、このような想定外の負荷が生じやすくなります。
VDI環境下でのWeb会議を快適に行うためには、ネットワーク経路の無駄を省くか、VDIシステムへの負荷をどうにかして解決する必要があります。これらの課題を解決するには、以下の3つの方法が考えられます。
最も根本的な解決方法として、VDI環境におけるCPUリソースを増強し、Web会議を行うために十分なCPUを確保する方法があります。この方法はWeb会議の品質を高められるだけでなく、増強したCPUリソースをWeb会議以外にも割くことができるため、Web会議以外の要素でリソースが圧迫されていた場合にも有効です。
vGPUとは、仮想環境におけるGPU機能のことを指します。GPUとはグラフィックス処理装置のことで、VDI環境にvGPUを搭載すると、高負荷な画像や動画の処理をGPUリソースで行えます。Web会議の際のエンコード処理など、高負荷になりやすい画像や動画の処理をCPUで行う必要がなくなり、Web会議もスムーズに行えるようになります。
各Web会議ツールでは、Web会議の通信のみ、VDIを通さずに端末から直接接続できるパッケージを提供しています。このパッケージを利用することで、ネットワーク経路の無駄を省くことができ、ファットクライアント(従来の、十分なスペックを持ったPC)と同程度に快適なWeb会議を実現できます。映像や音声の処理も端末上で行われるため、VDIシステムへの負荷を軽減できます。一方、バーチャル背景が使えないなど、一部機能に制限がかかるケースもあるため、注意が必要です。
実際にVDIでのWeb会議のパフォーマンスが向上した事例を2つ紹介します。
ある市役所では、2017年に最初のVDI環境を導入しました。このときはネットワーク分離のためのVDI導入であり、セキュリティ対策が主眼となっていたため、VDI環境下でのパフォーマンスは重要視されていませんでしたが、Web会議だけでなく、動画再生やWebブラウジングを快適に行うため、vGPUを搭載したVDI環境を構築し直しました。その結果、ユーザーがすぐに実感できるくらいに反応速度やパフォーマンスが向上しました。
ある県庁では、2015年に200台のVDI環境を構築。以降、VDI環境の整備を進めています。2016年にはインターネット環境から内部ネットワークを完全に分離するセキュリティ対策を施し、2019年には、システム基盤の更改に伴いVDIやネットワーク環境を見直しました。2020年春に新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発令されたことを受けて、さらなるVDI環境の快適化を進めました。現在は、日常的に利用する端末からでもVDI環境下でWeb会議を快適に行えるよう、最適化パッケージを活用しており、接続検証で、音声にも映像にも、品質的に問題がないことが確認されています。
VDI環境下でのWeb会議では、ネットワーク経路の無駄やVDIシステムへの負荷などによって音声や映像が劣化したり、遅延が生じたりする可能性があります。VDI環境下でのWeb会議を快適に実施するためには、これらの課題を解決することが重要です。CPUリソースを増やすほか、vGPUを導入したり、パッケージを利用したりする方法があります。
さまざまなリモートアクセスツールを展開しているCACHATTOのCACHATTO SecureContainerでも、快適なWeb会議を実現可能です。CACHATTO SecureContainerは、アクセス端末上に隔離されたセキュアな業務領域を生成し、その領域から直接各種Web会議ツールへアクセスできます。つまり、VDIシステムを使う必要がないため、ネットワーク経路の無駄も、システムへの負荷もなく快適にWeb会議を行えるのです。Web会議ツールの遅延や品質低下に悩んでいる場合は、ぜひご参照ください。
また、今回解説したVDIについては、利用実態を調査しそのレポートを紹介した資料「300社の調査結果から読み解くVDI/DaaS利用企業のホンネ」もぜひご覧ください。
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