庁外でも業務が進む。職員の働き方を変えたセキュアなスマホ活用術

大津市様
- 官公庁・自治体
- 従業員数 1,001~5,000名
- セキュアブラウザ

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導入前の課題
- テレワーク用のPC端末は導入していたが、外出時にメールやスケジュールをスマートフォンから確認する、といった利便性を職員から求められていた
- スマートフォンでも使用できるチャットシステムは導入済であったが、庁内のグループウェアサーバーへのアクセスを実現し、業務効率をさらに向上したかった
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選んだ理由
- BYODを推進する場合において、セキュリティを担保できる
- 大津市で採用されている自治体におけるネットワークモデル「α'モデル」に適合できる
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導入による効果
- 市長・副市長に随行する秘書など、外出の多い職員の業務効率が向上した
- 情報システム担当者にとっても、ネットワーク障害発生時などにすぐ利用できるアクセス手段に
- 大津市 政策調整部 情報政策課 課長補佐 竹中 真哉 氏
- 大津市 政策調整部 情報政策課 主任 高橋 祥太郎 氏
- (写真左から)竹中氏、高橋氏

大津市様は「セキュアブラウザ(CACHATTO SecureBrowser)」の導入により、スマートフォンの業務利用をスタートしました。現在は管理職を中心に、100名ほどが登録しているといいます。
今回はセキュアブラウザの導入を推進いただいた、大津市 政策調整部 情報政策課 竹中様、高橋様にお話を伺い、ご活用の様子やこれからの展開などについてお聞きしました。
テレワーク用端末を持たずに外出すると、予定の確認も電話で依頼することに
―――政策調整部 情報政策課について、また竹中様、高橋様のご担当業務について教えてください。
竹中様: 情報政策課の業務としては、市の住民記録や税システムなど基幹系システムの運用管理や、OA機器、ネットワーク環境、情報セキュリティの管理に加え、地域住民のデジタルデバイド対策への取り組みがあります。現在は、自治体情報システムの標準化ということで、国が示す標準仕様書に基づいたシステムの導入に注力しています。また、課内にDX推進室が設けられており、庁内のデジタル化をはじめとする全庁的なDX関連の取り組みを進めています。私は課長補佐としてすべての業務の統括をしており、平たく言えば、市民の利便性向上と庁内の職員の業務が効率化できるよう日々考えているというところでしょうか。
高橋様: 私は主に内部の情報システムの運用管理を担当しており、セキュアブラウザの導入も担当しました。
―――PCを使ったテレワークは以前から行われていたとのことですが、セキュアブラウザの導入を検討されたのは、「スマートフォンでも業務を行えるようにしたい」という要望が背景にあったのでしょうか?
竹中様: そうですね。外出が多い部署では「外出先でメールやスケジュールの確認をしなければならない」といった状況が頻繁に生じます。テレワーク用のPC端末を持たずに外出すると、庁内へ電話を入れて内勤職員に確認を依頼したり、場合によってはわざわざ庁舎まで戻って確認しないとわからないこともあったようです。
そこから「PC端末を持ち歩かなくても、スマートフォンからメールやスケジュールの確認ができるツールがほしい」という要望を受けていまして。同時期にグループウェアの更新時期も迎えつつありましたので、これを機に職員の要望に対応できるツールも一緒に入れようということになりました。
―――ツール選定にあたって重視していた条件はどのようなことでしたか?
竹中様: 最優先の条件は、やはり「セキュリティが担保できること」でした。大津市は総務省より提唱された自治体におけるネットワークモデルの「α'モデル」を採用しており、メールやスケジュールなどのシステムはインターネットには接続せず、LGWAN接続系にシステムを配置し特定通信を利用しアクセスしています。その環境に合わせて対応できることが必要だと考えました。
また、職員のスマートフォンからの利用を想定していたので「画面のスクリーンショットの禁止」「アクセスのログを残す」といった要件を設定しましたが、セキュアブラウザであればクリアできるということで、採用に至りました。導入前にトライアル環境を用意していただき、実際に触って使い勝手や機能などを確認できたのも、安心できましたね。

端末でセキュリティを担保しながら、いつでもどこでもアクセスできるのは魅力的
―――「セキュアブラウザ」の印象はいかがでしたか?
高橋様: 自治体の予算で業務用スマートフォンを配布しなくても、職員のスマートフォンを活用し、セキュリティを担保しながら、いつでもどこでもメールやスケジュールを確認・更新できるというのは、インパクトがありましたね。出先でスケジュールを確認するということは、だいたい「空き時間に新しい予定を追加したい」、「既に入っている予定を変更したい」といった目的も伴いますから、閲覧だけでなく更新も手軽で、リアルタイムにシステムに反映されるところにはとても魅力を感じました。
―――トライアルにはどういった部署の方が参加されたのでしょうか?
竹中様: 我々情報政策課と、秘書課の職員が参加しました。秘書ということで、市長や副市長に随行して、その随行先で市長のスケジュールを確認する業務が頻繁に発生します。しかし、「○日の予定はどうなっている?」と声がかかったその場でテレワーク用の端末、つまりPCを立ち上げて確認するのは面倒ですよね。そこで、先述のように庁内へ電話して確認する場合があったようです。これが手元のスマートフォンから確認できるようになって、便利になったという声がありました。ITに詳しくない職員でも導入をスムーズに進められたのもよかったです。
―――導入後の現在は、セキュアブラウザをどのように運用されているのでしょうか?
高橋様: セキュアブラウザのアカウントを付与した職員のスマートフォンから、インターネット接続系に設置したCACHATTOサーバーを経由し、LGWAN接続系にあるグループウェアサーバーに接続しています。

- 大津市様システム構成イメージ
120ユーザーで契約しており、管理職を中心に100ユーザーほどのアカウントを運用しています。アクセスログを確認したところ、そのうち50~60ユーザーの利用頻度が高いようです。秘書課など予定を確認する必要がある部署において利用されていることに加え、いつでも気軽に予定を確認することができる良さもあるようです。
情報政策課でも、活用法を検討する目的も兼ねてセキュアブラウザを利用しているのですが、ネットワーク障害のように緊急を要する際、どこでもすぐにグループウェアへアクセスできる手段があるというのは便利だと感じています。
―――現在は管理職の方を中心にアカウントを提供しているそうですが、利用者の拡大に向けた構想はありますでしょうか?
竹中様: 防災関連の部署では特に有効だと考えています。業務の特性上、災害時には時間や場所に関係なく、職員同士が連携し、グループウェアを使って災害状況を共有しなくてはならない場合があります。スマートフォンで対応できればかなり使い勝手の良い、災害対応に効果的なシステムになるのではないでしょうか。
セキュリティの問題があるから「できない」ではなく「どこまでできるか」を探りたい
―――情報政策課としての今後の展望、これから取り組んでいきたいことを教えてください。
竹中様: 働き方改革そのものについては人事課が中心となって取り組んでいるところですが、情報政策課としては、スマートフォンの業務利用やテレワーク可能なシステムの整備といったハード面の取り組みを進めることで、多様な働き方ができる環境を創る役割があると考えています。
セキュアブラウザも、今はグループウェアのみに接続する形ですが、将来的に、庁内で利用されているさまざまなシステムにアクセスできるようになれば、利便性の向上につながると考えています。セキュリティ面を鑑みると、慎重に進めるべきところですが、だからといってノータッチのままにしておくのではなく、どこまでできるかを考えなければならないと思っています。
―――より幅広い場面でご活用いただけるよう、我々も引き続きサポートや情報提供などで尽力してまいります。本日はありがとうございました。
大津市
大津市は、日本最大の湖である琵琶湖を抱える、自然豊かで歴史遺産も豊富な中核市です。琵琶湖畔の平地を山が囲むような地勢と、南北に長い地形が特徴となっています。また琵琶湖をはじめ、比叡山延暦寺、三井寺、石山寺など人気の観光スポットも多数あり、産業も不動産やサービス業など、第3次産業が中心です。大阪・京都のベッドタウンとして、大規模マンションの建設などが続き、人口も増加しています。

所在地 | 滋賀県大津市御陵町3-1 |
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正規職員数 | 2,481名(令和7年4月1日現在) |
URL | https://www.city.otsu.lg.jp/ |